こちらに示されている基準値と正常値は、検査施設により若干異なる場合があります。
一応の目安とお考え下さい。
血液一般(血算)検査
白血球数(WBC)
体内に俊入したウィルスや細菌を、攻撃する細胞です。
基準値は、約3000〜10、000。
数だけでなく、種類の変化にも注意する必要があります。
末梢血液像検査でわかります。
赤血球数(RBC)
酸素を運ぶ血液中の細胞(数)です。
基準値は、約350万〜500万。
貧血や多血症の診断の参考になります。
女性の方が、男性より少なめです。
ヘモグロビン(血色素量)
赤血球中にあって酸素と結合して、身体全体に酸素を運搬します。
基準値(約12)以下は、貧血を意味します。
女性の方が、男性より少なめです。
ヘマトクリット(HCt)
血液中の赤血球の占める体積の割合です。
基準値は、40〜50%。
貧血で低下し、逆に血液が濃縮されると(たとえば脱水)高くなります。
血小板数
血液を凝固させ出血を止める働きをします。
基準値は、15〜40万。
血液や肝臓の病気などで減少し、大出血の時は増加します。
極端に少ないと青あざができたり、血が止まりにくくなります。
MCV・MCH・MCHC
赤血球数・血色素・ヘマトクリットから算出し、赤血球の特徴を示す数値です。
鉄分不足があると減少します。お酒飲みの方はMCVが大きくなる傾向があります。l
血液生化学検査
総蛋白(TP)
血液中の総蛋白量。全身の栄養状態を反映します。
基準値は、約6〜8。
ZTT
慢性の感染症、炎症、慢性肝炎、肝硬変などで上昇します。
12以下が正常です。
AST(GOT)
肝臓病の時に上昇するのは良く知られていますが、心筋梗塞、血液疾患、
筋肉疾患でも、上昇します。40以下が正常です。
ALT(GPT)
肝臓の異常で上昇します。ウィルス性肝炎や栄養過多による脂肪肝が
上昇の原因になります。45以下が正常です。
高い方は、肝炎ウィルス検査を勧めます。
LDH
赤血球・肝・腎・心臓・骨格筋などに多く分布するため、これらの臓器の障害で上昇します。
採血の方法、血液の保存のされ方によっては、病気がなくても上昇します。
総ビリルビン
肝臓病、血液疾患、生まれつきの体質などで上昇します。
2mg/dl以上になると、皮膚や白目(しろめ)が黄色く見えます。(黄疸)
ALP
肝臓・胆のう・骨の疾患・バセドウ病などで上昇します。270以下が正常です。
成長期の子供・血液型がB型およびO型の人では、食後に高値を示します。
γGTP
肝臓の障害(特にアルコール性・薬剤性)・胆のうやすい臓の病気で、
胆汁の流れが障害される時に上昇します。
男性は60以下、女性は30以下が正常です。
LAP
肝臓・胆のうの病気で上昇しますが、上記ALPと異なり、骨疾患・バセドウ病
のみでは上昇しません。
コリンエステラーゼ(ChE)
主に慢性の肝臓病(脂肪肝を除く)で低下します。その他栄養不良・加齢・
全身状態の悪化・有機リン酸中毒でも低下します。
CPK
骨格筋・心臓・脳などに含まれる物質です。これらの臓器に異常がある時や、
激しい運動・筋肉注射後に上昇します。
血清アミラーゼ
すい臓と唾液腺から分泌される炭水化物消化酵素です。主に唾液腺やすい臓
の病気(おたふくかぜ・すい臓炎など)で上昇しますが、軽度の上昇は健康な方でも
認められます。すい臓疾患が疑われた時は、他にエラスターゼT等の測定が役立ちます。
尿素窒素(BUN)
血液中の老廃物の一つ。腎臓から尿中へ排泄されます。腎臓病で上昇しますが、
それ以外の影響も受けるため、必ず次のクレアチニンと対比してみる必要があります。
23以下が正常です。
クレアチニン
腎臓の働きが、正常の約60%以下になると上昇します。1.3以下が正常です。
尿酸
身体の代謝による老廃物の一つ。痛風・動脈硬化の原因となります。
基準値は7以下。8以上になると治療を考慮する必要があります。
Na・Cl (ナトリウム・塩素)
簡単に言うと、血液中の塩分です。むくみ・嘔吐・下痢・尿量の異常時・
利尿剤投与時・多量の点滴中・意識消失時などに検査されます。
K(カリウム)
高値になるのは大部分が腎不全の人。溶血(体内で赤血球が破壊されたり、採血後
血液を長時間放置する)が起こっても上昇します。ホルモン異常・薬剤の副作用・
慢性の下痢や嘔吐などでは、低くなります。高血圧とKは密接に関係するので、
血圧の高い方は、必ず測定させていただきます。
CaとP(カルシウムと無機リン)
骨代謝病・消化吸収異常・副甲状腺疾患・腎不全などで異常となります。一般の病院で
測定されることが少なく(医師があまり重視しない?)、これらの異常は見逃されることが
しばしばあります。腎臓に石がよくできる方や、異常に身体の一部がしびれたり痛む人、
上記検査項目でALPの高値の方などは測定する必要があります。
総コレステロール
基準値(220)以上になると、動脈硬化の促進に大きな影響を与えます。動脈硬化は、
自覚症状のないまま進行し、やがて脳卒中・狭心症・心筋梗塞などの重篤な病気を
引き起こす原因になります。
HDLコレステロール
血管壁に貯まった余分なコレステロールを取り除き、肝臓に戻す働きをする善玉コレステロール
です。基準値(40以上)を保つことが動脈硬化の予防に重要です。
中性脂肪
エネルギー源となる脂肪酸を運搬する物質。食事由来の成分と、肝臓で合成される成分があり、
採血条件により大きく変動します。非常に高いと血管が詰まりやすくなります。
基準値は150以下。
LDLコレステロール
肝臓から身体の各組織へ運ばれるコレステロール値です。悪玉コレステロールとも言われます。
基準値は140以下。
糖尿病に関する血液検査
グルコース(血糖)
血液中のブドウ糖(の濃度)。空腹時(食事直前)に110未満であれば正常、食後検査する場合は、
食後2時間の値が140未満が正常の基準値。
ヘモグロビンA1C(HbA1C)
この検査で、過去一カ月の血糖値の平均がわかります。健康な人なら6%以下です。
糖尿病の人は、7%以下になるように、血糖をコントロールします。
CRP(定量・定性)
炎症(感染症・外傷などで起こる)を反映する検査の一つ。炎症が重症になるほど数字が大きくなります。
(定性法では、+の左に付く数字が大きくなる)。正常は0.5以下、または(−)。
蛋白分画と正常泳動図(下図)
Albumin(アルブミン)は、肝臓で合成される蛋白質。肝臓病や栄養状態を反映します。
α1とα2−Globulin(グロブリン)は、主に急性の炎症があると上昇します。
γーグロブリンは、主に慢性の炎症(慢性肝炎・肝硬変・リウマチ等)で上昇します。